WordPress プラグイン問題とオープンソースソフトウエアについて 

2024年12月3日

オープンソースソフトウエア(以下OSS)といえば仕事柄WordPressが真っ先に頭に浮かびますが、他にもいろいろあって代表的なものだとOS関連のLinuxやデータベース関連ではMySQLだったりWordPressにも関連してますがプログラミング言語PHPだったり、あとwebサーバー関連で言ったらApacheもそうですね。
OSSに関しては全く詳しくないのですが、ちょっと気になる事件があってネットで調べていくうちにOSSのIT業界に対する貢献度みたいなものが見えてきて、もう少し知っておくべきだなと思って書いてます。ツッコミどころ満載かもしれませんがご容赦ください。

そもそもオープンソースソフトウェアとは何なのかですが、言葉通りソースがオープン(公開)になっているソフトということです。
OSSと言われるそのプログラムは無償で公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布ができます。
なので、世界中の技術者が参加し発展してきた経緯があるんですね。
Googleなど多くの企業側も自社で開発したソフトウエアをOSSとして公開していて、当然そこには、企業イメージの向上やその分野に興味をもつ優秀な技術者を集めること、さらにその分野でのイニシアチブを得られるなど十分なメリットがあるわけです。

コンピューターのソフトウエアが著作権保護の対象とされた1970年代前半、パーソナルコンピューターが普及するにつれソフトウエアの需要も高まり、ソフト開発者は著作権の侵害を警戒していました。つまり当時はソフトウエアの内容はクローズドだったわけですが、1980年前半にリチャード・ストールマンという人物がそうした実態に意義を唱えます。
この超優秀なプログラマでもある彼は「すべてのソフトウエアはソースコードが完全公開され、かつ改変や再配布が自由とされるべきだ」との理念から「フリーソフトウエア財団」や「プログラミング自由連盟」などの設立に携わります。
彼が提唱した、フリーソフトウエアのライセンスであるGPLなど、著作権は放棄しないものの、他者が自由に使うことを認めるというコピーレフトという考え方は、今日のOSSのあり方にとって重要な意味を持つだけでなく多くの技術者にとっても大きな影響力を持っています。
ただ、誰でも自由に利用できることから搾取されやすいこともまた問題になっているようです。 この辺の経緯はネット上で簡単に調べることができますので興味のある方は検索してみてください。

さて、冒頭でも触れたちょっと気になる事件なんですが、2024年10月にWordPress界隈で大きな動きがありました。
それはWordPressで利用できるプラグイン(拡張機能)で利用者の多い著名なAdvanced Custom Fields(ACF)というプラグインが、WordPress上でアップデートするといきなりSecure Custom Fieldsに変更され、作者もWordPress.orgに変更されてしまうというものでした。たしかにちょっと乱暴な感じがしました。
WordPress側からは一応公式な発表が事前に行われていたようですが、そんなにこまめにチェックなどしない利用者(私も)にとっては寝耳に水的な出来事だったわけです。
原因についてはいろんなサイトで言及されているので、詳細にはここでは触れませんが、大まかに言えば、WordPress開発者であり、WordPress他を運営するAutomattic社のCEOでもあるマット・マレンウェッグ氏とACFの開発元であるWP Engine社の確執から起こったことのようです。
ネットで見るとマットさん側が悪者的な言われようが圧倒的に多いようです。
確かにいきなり特定のプラグインを乗っ取ったようにしか見えない状況から、悪者扱いも致し方ないのかなという部分はあります。ただマットさん側の言い分もあるので、なんともモヤッとした状況が続いています。
実はACFは数年前にWP Engine社が買収していて、その際にもACFが商用化されてしまうのではと話題になっていましたし、マットさん側とすればWP Engine社はWordPressサイトの運営に特化していて、多大な利益を得ているのにWordPresssへの十分な貢献がされてないということのようです。

WordPressもACFもOSSであり、どちらもOSSの理念に基づいて開発されているはずです。
OSSは前述のように、大きなメリットの一つとして自由性と透明性が確保できるということがあります。
利用する側もそれを尊重しながら、多くの利益を得た場合にはそれなりの貢献をするというのが理想ですが、 WordPressに関して言えば今回のようなことをやってしまうと、多くのプラグイン開発者が開発を躊躇してしまうことになってしまわないかが心配されます。もし実際に開発者が開発を躊躇してしまうようなことが起これば世界で最も利用されているCMSであるWordPress自体にも大きな影響が出るのではないかと懸念する向きもあります。
そもそものOSSの理念にも反しているんじゃないかということでOSSコミュニティー界隈をも巻き込んでの大問題になっているようです。

結局のところ一番困惑しているのはWordPress利用者と開発技術者なんだと思います。
ただ今現在ではWordPressを凌ぐCMSはないことからこのまま利用しやすいCMSであって欲しいと願うばかりです。

【2024年12月13日追記】
ここで今更ながら著名な開発者の大変重要な意見が掲載されたサイトを紹介しておきます。
ぜひ読んでいただきたいです。見方が変わるかもしれません。
詐欺が横行している

【2025年1月17日追記】 関心のある方々はもうすでにご存じと思いますが、WP EngineとAutomattic社の訴訟問題はカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所による「WP Engineからのブロック差し止めの申し立てを認める判決」が下されていました。それによって複数のサイトで確認したところSecure Custom Fieldsに変更されていた該当プラグインはAdvanced Custom Flieldsの最新バージョンに変更(戻)されているようです。

●ACFについて
ACFがSCFに変更されてますが、今のところこれまでのACFと同様に利用できていますのでそのままでも運用に問題はありません。ただ、開発元が変わってしまったので今後のアップデートがどのようにされるのかはわかりません。ですので変更されたSCFをACFに戻したいという場合は以下WEBLICさんのサイトが参考になります。
SCFからACFに戻す方法
いづれにしても当該プラグインを利用しているクライアントサイトを多数抱えていると、ちょっと面倒ですね。

●その他参考サイト
「なぜ自社で開発したソフトウェアをOSSにするのか?」
「The Open Source Definition」

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