著作権を侵害しないために覚えておきたいこと

2019年2月6日

今回は著作権について少し調べてみました。ホームページ更新時に写真画像やイラストを探すの苦労しますよね。ネットからフリーのものを探して使ったりしていませんか。それ、著作権的には大丈夫なんでしょうか。

Please don't copy

私自身どうも分かっているようで分かっていない著作権について、ちょっと調べて調べてみたんですが、いきなりこんなものが目にとまりました。

“著作権の一部が非親告罪化”

日本国内では「著作権法違反」は親告罪なので、著作者が告訴しない限り著作権侵害を公訴することが出来ません。 しかし昨年2018年12月30日から「TPP関連法案国会審議」に基づく改正案が成立し、著作権等侵害罪の一部を非親告罪とする法案が施行されました。 ※この他にも著作物等の保護期間が50年から70年に延長されました。

今回の法改正で、一部ですが被害者(著作権者)の告訴を経ることなく訴訟を提起できるようになってました。 非親告罪の摘要には以下のような要件を設けてはいますが、誰でも告訴出来るようになってしまうことで、「告発マニアが訴えたり、警察が勝手に動いて逮捕することになるかもしれない」(文筆家竹熊健太郎氏)という議論もあるようです。

文化庁のホームページに掲載された非親告罪の対象となる要件は以下。

  • [1]侵害者が,侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること
  • [2]有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること
  • [3]有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること

文化庁ホームページより

では、冒頭のように会社やお店のホームページを更新する時の、会社やお店の情報を写真付きで掲載したり、イメージに合ったイラストを掲載したりすることについてはどうなんでしょうか。 たとえば、ネット上の画像やイラストを、これはフリー素材のサイトからダウンロードしたものだし大丈夫だろうと思っていたりしませんか。でも実は間違っていたなんてこともあるかもしれません。 これらは上記の非親告罪の対象にはなりませんが、場合によっては著作者から何かのアクションがあることもあります。 フリー素材だから大丈夫と言っても、商用利用はダメだったり、著作権の表示が必要だったりするのもありますし、注意が必要なのは著作権に関する表記がない個人のブログに掲載されている個人が撮影した写真画像であっても、著作権はちゃんと撮影した個人に存在する事です。裁判沙汰になる事案がさほど多くないとはいえ、面倒なことになってしまってからでは遅いので、著作権について最低限の理解は必要です。

まず、ネット上でよく見る「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」(CC)。 これを理解しておくことはとても重要かと思います。 詳しいことはネット上で簡単に調べられますので、ここでは概要だけ掲載します。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのサイトによると「クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称」であり「CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が『この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。』と意思表示をするためのツールです。」とあります。 つまり国際的な組織であることと、クリエイターは自身の作品の使用に関して条件を明示でき、利用者はそれに沿った利用であれば問題ないということになります。これは分かりやすいですね。

では何故、クリエイティブ・コモンズのような新たなルールが出来たのでしょう。 以前は「著作権ありAll rights reserved」か「著作権切・権利放棄 Public domain」かのいずれかの状態でしたが、インターネットが普及したことによって著作権は保持したまま、一定のルールの中でなら他の人が利用しても良いという人たちが現れて来ました。 自身の作品をより多くの人たちに見て欲しいので、非営利目的なら掲載しても良いが改変などはして欲しくないなど、これまでのAll rights reservedとPublic domainの中間に当たる部分”Some rights reserved”が無かったことから定義されたのが「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」です。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは四つのライセンスの組み合わせで表示されます。 画像を使う側はこちらを理解していれば問題なく利用できます。

BY表示 この作品の著作者のクレジットを表示すれば利用可能
NC非営利 この作品を営利目的で利用をしてはいけません
ND改変禁止 この作品を改変、加工、変形してはいけません
SA継承 この作品を改変して新たな作品を作った場合は、その新たな作品にも元の作品と同様のライセンスを付与しなければなりません。

上記のライセンスの組み合わせによって以下のように6種類のライセンスが定義されています。

  • BY     原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンス。
  • BY SA   原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンス(このライセンス)で公開することを主な条件に、営利目的での二次利用も許可されるCCライセンス。
  • BY ND   原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ元の作品を改変しないことを主な条件に、営利目的での利用(転載、コピー、共有)が行えるCCライセンス。
  • BY NC   原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であることを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス。
  • BY NC SA 原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的に限り、また改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開することを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス。
  • BY NC ND 原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であり、そして元の作品を改変しないことを主な条件に、作品を自由に再配布できるCCライセンス。

Creative Commons Japanより

では「引用」についてはどうでしょう。

文化庁の「著作権なるほど質問箱」によれば、著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合として以下の条件が書かれています。

 
  • ・既に公表されている著作物であること
  • ・「公正な慣行」に合致すること
  • ・報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
  • ・引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
  • ・カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
  • ・引用を行う「必然性」があること
  • ・「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

文化庁 著作権なるほど質問箱より

「公正な慣行」に合致という部分が、分かりにくいかもしれませんが、自身が書く文章等を成立させるための引用である事という感じでしょうか。 文化庁ホームページに「著作物が自由に使える場合」というページがあります。詳しくお知りになりたい方はご覧ください。

著作権については、ほかにもいろいろと注意しなくてはならないことがありそうです 。今回はネット上にある画像やイラストを利用した場合に気を付けたいことなどを調べてみましたが、他にも写真などの場合は肖像権やパブリシティー権の問題もあります。また、ネットに限らず、社内プレゼンで使用する画像なども充分に配慮が必要です。 例えばあるブログに載っていた画像を、社内でのみ使用するものだからと無断で使用した場合、著作権法で定める「個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」とは言えないため、利用はできないということになります。 2020年オリンピックのエンブレム騒動の時、エンブレムとは違ったところでも著作権が問題になりました。エンブレムを掲げたイメージ画像の背景部分(空港施設)が外国の女性が撮影し自身のブログに掲載したものを無断使用したものでした。”関係者しか見ないから”はダメなんですね。

これからさらに著作権者側はコンテンツの不正利用には敏感になっていくものと思われます。ネット上のコンテンツを利用する場合は国内のものとは限りません。ある日突然海外から高額な使用料を求められるなんてことがないように、会社やお店のスタッフ、特にホームページの更新に関係する方達には、こうした情報は共有しておきたいですね。

【追記】2019年2月13日に『著作権侵害 スクショもNG「全面的に違法」方針決定』という記事が朝日新聞に掲載されました。

「権利者の許可なくインターネット上にある漫画や写真、論文などあらゆるコンテンツについて、著作権を侵害していると知りながらダウンロードすることを全面的に違法とする方針」

ということで早ければ来年から施行されるようです。漫画や音楽の海賊版サイト対策を機にということらしいですが、小説や雑誌、写真、論文、コンピュータープログラムなどあらゆるネット上のコンテンツが対象のようで、スクリーンショットも対象になるとか。

今後文化庁が絞り込むということですが、いろいろ批判もあるようなのでちょっと注目ですね。

こちらでも詳細がわかったらまた取り上げたいと思います。

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